9月初旬、栃木県那須町の湯本地区にある某高級リゾートホテルへ、お客様をご案内し、建物の現地実査と周辺調査を行いました。

このホテルは、客室から那須高原の広大な自然を一望できる場所に位置しております。新緑、深緑、紅葉、雪景色と、季節ごとに表情を変える那須の景色を楽しめる立地です。

周辺には動物をテーマにした観光施設をはじめ、家族連れやカップル、シニア層まで楽しめる観光スポットが点在しており、那須高原観光の拠点として利用しやすい場所だと思います。

館内へ入ると、ゆったりとしたロビーラウンジが宿泊者を迎えます。深みのある色合いのソファ、間接照明、観葉植物を組み合わせた空間は、落ち着きと高級感を感じさせます。

この物件は、現オーナー様が4年前に筆者(辻勇自)の仲介により購入されたホテルです。購入後は約2年をかけ、建物内部をスケルトン状態から全面改築されました。

現在は、和の要素を随所に取り入れながら、現代的でスタイリッシュなインテリアに統一された高級リゾートホテルとして運営されています。

客室は全30室で、各客室は35㎡以上あり、広い客室では約100㎡あります。一般的なホテルの客室と比較してもゆとりがあり、複数人で宿泊しても窮屈さを感じにくい造りです。

洋室にはベッドのほかにソファとテーブルが配置され、大きな窓から周囲の緑を望めます。内装は落ち着いた色調でまとめられており、派手さを抑えながら上質な滞在空間をつくっています。

客室からの眺望も、このホテルの大きな魅力です。眼下には豊かな森林が広がり、その先には那須の山並みを望めます。建物が新しい、設備が充実しているというだけではなく、客室で過ごす時間そのものが宿泊の目的になるホテルだと感じました。

一部の客室には畳敷きのスペースが設けられています。ベッドで休める快適性を確保しながら、素足でくつろげる日本らしい空間も取り入れられており、国内のお客様だけでなく、訪日外国人のお客様にも好まれる客室だと思います。

浴室・水回りも全面改築され、浴槽、シャワーヘッド、温水洗浄便座等の設備が更新されています。木を使用した内装と独立型の浴槽が採用され、客室内でも非日常感のある入浴時間を過ごせる造りになっています。

大浴場は、黒を基調とした壁面と大きな窓が印象的です。浴槽から庭の緑を眺めることができ、リゾートホテルらしい開放感があります。

浴場は宿泊者の満足度を左右する重要な設備ですので、売買や運営の引継ぎでは、浴槽だけでなく、給排水、給湯、換気、防水等の状態も確認する必要があります。

レストランは、各テーブルの間隔を確保した落ち着きのある空間です。白いテーブルクロスと柔らかな照明により、料理をゆっくり味わえる雰囲気がつくられています。

食事についても宿泊者から高い評価を得ており、施設全体の口コミ平均は4.7を維持されています。リゾートホテルでは、客室や浴場だけでなく、料理と接客を含めた滞在全体の評価が、再訪や口コミによる集客につながります。

今回の建物実査では、客室、ロビー、レストラン、浴場等の状態を確認するとともに、全面改築された箇所や設備の維持管理状況等を調査しました。

ホテル・旅館の売買では、建物の見た目だけで判断することはできません。改築時期と工事内容、設備の更新履歴、今後必要となる修繕、売上と経費、従業員の雇用、予約や許認可の引継ぎ等を総合的に確認する必要があります。

筆者(辻勇自)の考えでは、このように長い期間と多額の費用をかけて全面改築されたホテルは、那須地区でも数が少なく、希少性のある物件です。近年は建築資材や工事費が上昇しているため、既存建物をここまで改築し、営業実績と高い口コミ評価を積み上げたことには大きな価値があります。

また、このホテルは宿泊者を地域へ呼び込むだけでなく、従業員の雇用、食材や備品の仕入れ、周辺観光施設への回遊等を通して、那須地域の観光経済にも貢献しています。

宿泊施設は、不動産としての土地・建物の価値だけでなく、運営によって生み出される事業価値も重要です。次のオーナー様へ施設の魅力、従業員、予約、顧客からの評価を円滑に引き継ぐことができれば、地域の観光資産として長く活用されるホテルになると思います。

ホテル旅館経営研究所では、ホテル・旅館等宿泊施設の現地実査、周辺市場調査、収益性の分析、売買・M&A、事業承継、運営改善まで親身に対応しております。宿泊施設の売却、購入、査定、経営についてお悩みのオーナー様は、ぜひ当社へご相談ください。